width=”800″ という暗愚


ご大層なタイトルですが、もちろんたいした話じゃありません。なんでそんなことになってるかちゃんと考えようよ、って話です。「ブラウザの横スクロール上等!縦だけなんて不公平だ!」という場合は読む必要ナシです。

Web デザインを行う場合「横幅は 800px 」というセオリーが存在します。もちろん完全に趣味のデザインなら好きにやっていいんですが、ある程度公開を前提にしている場合は必ず検討の選択肢には入ります。これ、以前は 640px でした。そして最近は 1024px でいいんじゃねーの?って声が聞こえ始めてます。

640→800→1024 といえばもちろん画面解像度。昔々、Windows95 が登場するまで、多くの PC 環境で解像度は 640×480 でした。NEC の PC9801 だと 640×400。これはグラフィックボードとディスプレイというハードウエアに起因するものでした。Windows95 以降、急速に PC が普及するとデスクトップでは 1024×768 が主流となっていきます。15 インチのディスプレイで 1024×768 というのも今考えればちょっとムチャですが、当時はそれでも劇的にデスクトップの自由度が増加したと喜んだものです。

インターネットが普及し始めたのが Windows95 OSR2 ぐらいの時期ですので、そのころはまだまだ多くの環境でデスクトップの横幅は 640 が上限だったわけです。この頃はすでに新規購入のデスクトップマシンについては 1024px の横幅が標準になっています。しかし、ノートについてはそうはいきません。最近はともかく、当時のノートは液晶のサイズで値段が決まっていた時代です。デスクトップは 640→1024 と男子中学生が階段を上るかのようにジャンプアップしましたが、ノートはそうはいきませんでした。

そんなわけで 640px のデスクトップ環境がそろそろメイン環境として使われなくなったかな?というころから Web ページをデザインするときの基本幅として 800px が採用されているわけです。

というのが歴史的(?)経緯。つまり一度に表示できる物理的上限として 640 とか 800 というラインが存在するということ。

しかし最近は「だから width="800" でいいんじゃないの?」としか考えていないデザインが多い気がします。実際に画面解像度を 800×600 に変更すればすぐにわかるんですが、ページの横幅をホントに 800px で設定してしまうと横スクロールバーがでてしまいます。画面幅は 800px あっても、縦スクロールバーやウインドウの枠があるので、実際にページを表示できる領域は横幅 800px 確保できないからです。なぜ「幅800px」という基準があるのかという理由を意識した場合はこのようなことにはならないはずです。単に「800px」という数字だけしかみていない事例が多すぎるように思えます。

繰り返しになりますが、自己満足のためのデザインなら好きにやってかまいません。しかし、多少なりとも他人のためのデザインならばそこで使用する機能の意味を理解する必要があるのではないでしょうか。

とはいえ Web デザインぐらいだったら人の生死にかかわることはないんでテキトーでも自分が損するだけという話もあります。実際現状では圧倒的に 1024px 以上のデスクトップ解像度が普及してるので、物理的上限よりもブラウザウインドウサイズとしてどのぐらいが設定されてるかという話になってくるわけです。フルスクリーンの人もいれば 640px 程度に狭めてる人もいるかもしれない。そこまで自分で制御しようって人もいるにはいますが、多くの場合そこまではやりません。

しかし 800px というセオリーを利用する以上はなぜそうなっているのかという理由込みで利用する必要があるのではないでしょうか。でなければ制限されるデメリットだけしか見えません。

そしてなんで突然こんな話を始めたかという理由ですが

なぜ今のパソコンにはBドライブがないのか?という理由

なんて記事を読んで、思っている以上に低解像度を経験したことがある層というのは少ないんじゃないの?!と認識したから。もしかすると「経験の欠如による無知」が根っこにあるのかも?という気になったので長文で昔話してみたわけです。なので、くどいほどに繰り返しになりますが、わかっててやってるんだったら勝手にしてください


“width=”800″ という暗愚” への2件のフィードバック

  1. 深く考えてはいませんでしたが、数年前まで使っていたiMacが横幅800pxだったので、ホームページもそれに収まるように作っていました。
    でもよそのパソコンで見たら、えらく余白が多い・・・。
    ウィンドウサイズも設定しておけばいいんでしょうけど!

    あ?、むかし、フロッピーを二枚入れて起動していた気がする。
    そうか、あれがBドライブだったのですね。
    私はマックユーザーだったので、ハードディスクがCってことも、比較的最近知りました・・・

    授業でBASICとかC言語を習ったときは、薄っぺらいCD位の大きさのフロッピーのようなものを2枚入れていたような気がする・・・

  2. そうですそれです、まさにその環境。
    世紀末のころにはわりと普通だったんですが、最近すっかり見かけなくなりました。
    だと、ここ数年しかアレコレやったことのないワカモノなんかだと考えたこともない世界だったりするのかも?と想像しちゃったわけです。

    薄っぺらいCD位の大きさのフロッピーのようなもの
    封筒みたいなのに入ってるヤツですねっ!
    でも、実はワタシ5インチフロッピーって本格的に使ったこと無かったり。冬眠中だったので。 🙂

    ちなみに NEC の PC98 シリーズだと起動したとこが A ドライブになってそこから順番に B、C… というのは余談でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です